商売の尊さを理解した日。

商売の尊さを理解した日。

東日本大震災で被災された方々に、心よりお見舞い申し上げます。

あの日、起業してまだ半年足らずだった私は、目黒で午後一の打ち合わせを終え、次の打ち合わせまでの短い空き時間に昼食を済まそうとマクドナルドに入りました。次の渋谷のアポイントまで45分、サクッとハンバーガーを食べて移動しようとしたその時に、あの地震が発生しました。

店内のお客さんは大パニックで、目黒駅前のロータリーには周辺の建物から人々が一斉に避難してきました。私は2階の窓際の席だったのでロータリーがよく見渡せ、人々のあまりのパニックぶりに「これは下手に外に出ないほうがいい」と判断しました。携帯は繋がらなくなりましたがマクドナルド店内のFree Wi-Fiは普通に使えたので、ガラケーから機種変更したばかりのiPhone4で情報収集を行いました。

ちょうどその時、外から悲鳴や騒がしい声が聞こえたのでロータリーを見下ろすと、JRが早々にシャッターを閉めてしまいました(この光景はこの先も忘れることはないだろう)。そして行き場を失った人々で、ロータリーはより一層混雑していました。

「これはとんでもないことになる」

私も店内にいたお客さん達も店員さんも、誰もがそう思いました。さすがに私がいたマクドナルドもシャッターを閉めましたが、店員さんは私たち客に対してこう言ってくれました。

「シャッターは閉めますが今いらっしゃるお客様はこのままお店に居ていただいて結構です。」

それから約1時間、私は店員さんのご厚意に甘えさせてもらい、店内のWi-Fiを使って情報収集を続けました。その間もレジカウンターでは、コーヒーやサラダなど、油を使わないメニューを販売し続けていました。店内にいた客達は、心から「ありがとう」と言ってお金を支払っていました。

しかし、店員さん達だって同じ被災者です。本部からの指示もあったのでしょう。それからしばらくした後に、閉店する旨を申し訳なさそうに伝えに来ました。いやいや、むしろここまで営業してくれて本当にありがとう。心からのお礼を申し上げて、私は店を後にしました。

マクドナルドのおかげで都内の交通状況等を確認することができた私は、当時住んでいた東高円寺の自宅までの約15kmの道のりを歩いて帰ることにしました。

途中で中学の頃からの親友と合流し、目黒から渋谷を抜け新宿を抜け、延々と歩いて帰りました。

渋谷と新宿では、靴のABCマートが営業を続けている光景が目に付きました。店内では革靴のサラリーマンやピンヒールを履いた女性がスニーカーを購入していました。ABCマートはどの店舗も大盛況でした。

そして街中では余震が続く中、いくつかの飲食店が営業を続けていました。歩き疲れた私と親友は1軒の飲食店に入り、遅い夕食をとりながらTVで津波の映像と、街全体が炎に包まれている光景を見て愕然としました・・・。

あの日私は、「ありがとう」と言いながら喜んでお金を支払う人々をたくさん見ました。そして、私自身も心から「ありがとう」と言いながらお金を支払いました。

あの日私は、世の中というのは商売があってこそ成り立っているんだと実感しました。商売の本質や素晴らしさ、尊さを生まれてはじめて理解したように思います。「ビジネス」というカッコイイ単語ではなく、商売。

必要としている人に必要とされる何かを、必要とされるタイミングで提供し、お礼を言われながらお金を頂戴する。

そんな本物の商売をしたいと、今ももがき続けています。会社を経営しているとキレイゴトだけでは生きていけないから、時にはこちらが提供する価値よりも高いお金を請求してしまうこともある。お客を満足させられないままお金を頂戴することもある。正直、そんな時は罪悪感を抱く。

それでも、あの日生き抜くことの出来なかった人達の明日を生きている私は、今日も生きていることに感謝して、ひとりでも多くのクライアントに喜んでお金を支払ってもらえるよう、これからももがき続けていきます。

まずは完全成果報酬型の越境EC販売代行で日本の中小企業とアジアの購入者に喜んでもらうこと。このチャレンジです。