2025年10月に入って、ようやくGoogle WorkspaceのアカウントでもスプレッドシートでAI関数が使えるようになりました。
当社では以前からChatGPTのAPIを利用してエクセルやスプレッドシートでAI(GPT)関数を使えるようにしていましたが、今回のアップデートでようやく誰もが難しい連携や設定をせずともAI関数を使えるようになりました。
このAI関数は、工夫次第で日頃のルーティンワークにかかる作業時間を何分の一にもしてくれる、とてもとても便利な機能なので、あなたもぜひ試してみてください。
なお、法人でGoogle Workspaceを契約している方はスタンダードプラン以上、Microsoftを契約している方は追加でCopilotの契約(アドオン)が必要です。
AI関数とは?─ Excelやスプレッドシートが一気に進化
最近よく耳にする「AI関数」。
一言で言えば、ChatGPTなどの生成AIをExcelやスプレッドシート上で直接使えるようにする新しい関数です。
たとえば「=AI(“この文章を要約して”)」と入力すると、AIが自動的に文章を短くまとめてくれます。
まるで職場にもう一人、知的なアシスタントが増えたような感覚です。
従来の関数(SUM、IFなど)は「数値や条件を処理する」ものでした。
一方AI関数は、「文章の要約」「メール文面の作成」「アイデア出し」「翻訳」など、人間の“考える作業”を自動化できるのが大きな特徴です。
これにより、単なる計算ツールだったExcelが、「思考のパートナー」に進化したと言えるでしょう。
このAI関数の登場背景には、生成AIの普及と業務効率化のニーズの高まりがあります。
ChatGPTのようなAIモデルを社内でも安全に使いたいという声が増え、MicrosoftやGoogleも標準機能としてAIをスプレッドシートに組み込み始めています。
つまり、AI関数を使いこなすことは、これからのビジネスパーソンにとって“デジタルリテラシー”の新しい常識になるのです。
AI関数でできること ─ もう“関数”の域を超えている
AI関数の魅力は、その柔軟さにあります。
従来の関数では「決まった出力」しか得られませんでしたが、AI関数では指示次第で結果が無限に変わるのです。
① キャッチコピーやメール文面を自動生成
「=AI(“新商品のキャッチコピーを3案作って”)」と入力すれば、AIがすぐに候補を提案。
マーケティング部門では、広告コピーやSNS投稿文を瞬時に作ることができます。
② 長文の要約・翻訳
議事録や報告書など、長文を読み込ませて「=AI(“この内容を100文字で要約して”)」と入力するだけ。
海外の取引先向けに「=AI(“英語に翻訳して”)」とすれば、AI翻訳が自動で実行されます。
③ データ分析・仮説出し
「=AI(“この売上データから傾向を教えて”)」とすれば、AIが数値を読み取り、文章で解説。
さらに、「次に改善できる点は?」と指示すれば、AIが人間のように洞察を返してくれるのです。
④ プログラミング補助
AI関数を使えば、簡単なコード生成も可能。
「=AI(“スプレッドシートのデータをグラフ化するスクリプトを作って”)」と指示すれば、Google Apps ScriptのコードをAIが出力してくれます。
このように、AI関数は「業務効率化」「情報整理」「企画発想」など、幅広い場面で活用可能です。
つまり、“指示の出し方”さえ覚えれば、あなたの業務を劇的に自動化できる武器になるのです。
AI関数を使い倒すコツ ─ “プロンプト”設計がカギ
AI関数をうまく活かす最大のポイントは、「プロンプト(指示文)」の作り方です。
プロンプトとは、AIに対して「どんな目的で」「どのように出力してほしいか」を伝える文のこと。
これを工夫するだけで、AIの出力精度が大きく変わります。
良いプロンプトの例
❌ 「文章をまとめて」
⭕ 「以下の文章を100文字以内で要点を3つに整理して」
悪い例と良い例の比較
| 悪いプロンプト | 改善後のプロンプト |
| アイデアを出して | 20代向けカフェの新メニュー案を5個出して。特徴と価格も書いて |
| 文章を直して | 以下の文章を、ビジネスメールとして丁寧に修正して |
このように、AIに「条件・目的・制約」を明確に伝えることで、AI関数の精度は一気に上がります。
最初は難しそうに見えますが、慣れると“AIへの発注力”=ビジネススキルになることを実感できます。
AI関数の活用で広がる業務効率化の可能性
AI関数は、単なる便利ツールではなく、働き方そのものを変える技術です。
職種ごとに見てみると、さまざまな活用方法があります。
事務職の場合
議事録要約、メール返信文作成、報告書ドラフトなど、単純作業を自動化。
「入力→考える→まとめる」という流れを、AIが一気に支援します。
営業職の場合
提案書の要約やフォローアップメールを自動生成。
「商談記録を要約して次のアクションを提案して」と指示すれば、AIが営業アシスタントのように動いてくれます。
マーケティング職の場合
SNS投稿の文章作成、競合分析、キャンペーンアイデア出しなど。
AI関数を「アイデアブレーン」として使うことで、スピードも発想の幅も向上します。
経理・人事の場合
「社員データから残業時間の傾向を出して」「経費精算書の誤字をチェックして」など、数字と文章の両方を扱う仕事にこそAI関数が効果を発揮します。
さらに、Microsoft CopilotやGoogle Geminiなどの統合AIツールと組み合わせれば、「AI関数+自動化」で日々のルーティン業務が大幅に削減できます。
AIに任せられる仕事を増やすことで、あなたはより価値の高い“考える仕事”に集中できるのです。
まとめ ─ AI関数は“使う人の想像力”で進化する
AI関数の真価は、「誰が使うか」によって決まります。
同じ関数でも、曖昧な指示では曖昧な結果になりますが、明確な目的を伝えればAIはあなたの頼れる相棒になります。
今はまだ、「AI関数って難しそう」と感じる人も多いでしょう。
しかし、スマートフォンの普及が誰にでもデジタルスキルをもたらしたように、AI関数もすぐに“当たり前のスキル”になるはずです。
まずは、日々の業務の中で「この作業、AIに任せられないかな?」と考えることから始めてみてください。
1日1回でもAI関数を使う習慣をつければ、あなたの仕事効率は確実に変わります。
そして何より、AI関数は“想像力”を形にするツールです。
AIに命令するのではなく、AIと共に考える。
この姿勢こそが、これからのビジネスパーソンに求められる新しい力なのです。
ぜひこの素晴らしい武器を、誰よりも早く使いこなせるようになってくださいね。

プレシャスデイズ株式会社
代表取締役
学生時代よりTELアポ・飛び込みの営業を経験し、2010年にプレシャスデイズ株式会社を設立。AIの基礎技術である機械学習システムを活用したマーケティング支援から現在は中小企業に特化した生成AI導入支援事業を展開。